ちょうど10年前の3月、学校を卒業し、ついに教室開業しました。
実は在学中に一度、ピアノの先生になるのはやはり大変そうだから、就活してみよう、と心変わりしたことがありました。
こんなにピアノが難しくて大変なら教えるのはもっと無理!と思ったのです。
やっぱり英語力を活かして、ピアノは趣味に…と心が揺らいだわけです。
就活相談室もあったので、実際に履歴書を書く指導を受け、オンライン申込のための下調べをしました。
履歴書に書くことは学校での功績やバイトでの功績。
相談員の方に上手くいかずに辞めたバイトでのある活動の話をしたら、「そのバイトでやっていた活動は就活で話すとウケる」と言われました。
上手くいかずに辞めたのは良いのですか?
と聞いたら、そこは触れずに良いことだけ話せば良いと言われました。
要は学校入試の面接と同じですね。
相手方にとって良いと思われることだけを若干盛って話すテクニック…
これをするなら、せっかく決意してピアノの道に進んだ意味がないですね。
そしてエントリー先の企業探しは、すごく時間がかかり、何を基準で選ぶのかも謎でした。
ピアノを練習しなきゃいけないのに、時間をとても多く使うのもストレスで、本当にこれで良いのか不安になりました。
この頃は母も健在だったので、母に話したらやはり、
「せっかくピアノを選んだんだから、教室開業しなさい。英語は私、ピアノは貴方ね。」
と後押ししてもらいました。
よく母は私に、
「貴方は会社員やキャビンアテンダントには向かない。」
と言っていました。
当時はそんなことないだろう、やれば出来るはずだ、と思っていました。
今となっては、やはり今の仕事(教室経営者)がとてもやりがいがあって、楽しいんで働けるので、母の観察眼には感謝しています。
ただ、このように迷う程、教室開業するのは本当に勇気のいることであるのは間違いありません。
父母の後押しナシには出来ないことでした。
また、当時は20代で、若さも必要だったかなと思います。
教室開業を決意してからは、在学中からチラシ作成、案内等を出して、生徒さん募集を開始していました。
就活相談室の方にそれを話したら、すぐにそうやって実践できるなら教室開業してから、やっていけますよ。頑張って!と言われ、よりやる気が出ました。
在学中から英語レッスンで指導していたので、最初から生徒さんゼロではありませんでした。
ただ、大人の方しか教えていなかったので、子供の生徒さんが来た時のレッスンが、どうしようかとても不安でした。
ピアノは子供の習い事として人気なので、子供を教えられるのは絶対必要なスキルです。
初の子供の生徒さんが入会して下さった時は緊張、不安でいっぱいでしたが、ピアノを好きになって欲しいという思いでレッスンしていきました。
正直、元々は子供は苦手だったので、それも不安の原因でした。
それでも仕事にするんだから、そんなことは言ってられません。
子供のレッスンをしてみて、まず驚きました。
子供は無心で一生懸命ピアノに向かうんです。
長時間ではなくても、ある瞬間、すごく真剣にピアノを弾きます。
あぁ、私もこんな風にピアノに向き合いたい。
子供のピアノに向き合う姿から学ばされました。
「教えることで人は最もよく学ぶ。」
昔々の哲学者の言葉です。
本当にその言葉通り、教えることで常に学ばせてもらっていると実感してからは、生徒さんが子供でも大人でも、実は年齢はあまり関係ないと思うようになりました。
指導を始める前はピアノさえ弾ければレッスン出来ると思っていました。
しかし、思うように伝わらないことや予定通り進まないことが沢山あります。
次はこれをしてみようかな、あのやり方はどうかな?
セミナーへ行って先輩先生方のやり方を見たり、本を読んでみたり…
教えることは弾くことと大きく違うことだらけです。
違うけれど、繋がっていることもあります。
指導者としての成長は人間としての成長でもあるので、それは自身の演奏にもきっと繋がっているはずです。
こんなに指導が奥深いものとは、やってみないと分かりませんでした。
空手でも指導させていただくことがありますが、やはり人に教えらるようになるには、自分でしっかり出来て、言葉で説明できる必要があります。
教えるようになってからは、普段の稽古で師範がどう初心者の方を指導しているかよく観察するようになりました。
自分の通っているピアノレッスンも、自分の先生が使う手振りや口調、例え話など、全てがレッスンのヒントです。
こんなに奥深くて楽しい仕事、選んで本当に良かったです✨
やっ上達のヒントが少し出てきましたね。
今日のヒントは「教えること」です。
先生という仕事やプロミュージシャンをしていなくても、架空の誰かに説明するつもりで考えてみると、今までとは違う視点が生まれます。