当時22歳の私は、苦しみつつ無事に入試を突破し、晴れて音楽短大に入学できました。
四年制大学で通った獨協大学は文系ながらにITを駆使して、授業登録は全てオンライン、授業のレポートもパソコンでやることが当たり前。
パソコンレンタルも出来て、学校にはITで困った時に手伝ってくれる専門スタッフもいました。
短大に入ってまず、驚いたのは授業登録が手書きなこと、レポートも手書き…パソコンでレポートを書くのに慣れていたので、逆に大変でした。
伝統を重んじるのは大切ですが、これからの時代を社会人として生きていくのに、ITがほぼ学べない環境でした💦
獨協大学を卒業したお陰で、最低限のITテクニックは学べたので私はラッキーでした。
今も教室会報を作成したり、プログラム作成、会計ソフトを使うのにも役立ってます。
ピアノ演奏から話がそれました。
悩み深まる私の学生時代のピアノ演奏についてお話しします。
学生達は短大にいらっしゃるピアノの先生のうちのどなたかお一人に師事します。
そこで私は現在も師事している先生に出会います。
先生の第一印象は思ったより優しそうだなぁ、でした。
初レッスンでは今勉強している曲、ソナタやバッハの曲を弾きました。
1番よく覚えていて、かつショックだったのは、
先生から「基礎からやる必要があるね。」と言われたことでした。
5歳からピアノを始めて、趣味ながらに既に17年近く習ってきたのに、基礎からやるってどいうこと?!
今まで私がやってきたことは無駄だったのか、と一気に突き落とされたような気持ちでした。
そして短大は2年しかありませんから、2年で基礎からやっていたら、全く時間が足りない、と思いました。
短大に進学したのはもしかしたら大きな間違いだったかも、とすら思いました。
そんな思いを持ってしまったので、前期演奏試験に向けて課題曲が決まってからのレッスンはとても辛かったです。
まず読譜が苦手でした。何とか譜読みして、レッスンで弾くと、譜読みは出来たね、と始めはクリア出来たのですが、譜読みからその先の表現へ深めることが本当に苦手でした。
先生がおっしゃることは聞こえているけれど、理解出来ない。
私はこの頃まで、演奏というのは、間違えないで、最後まで暗譜で弾ければそれで完成だと思っていました。
先生はよく、間違えても良いからやってみて!とおっしゃっていました。
でも何をやってみたら良いのか、先生の求めてらっしゃることが何なのか、耳で聴くことがまだ出来ていませんでした。
今となっては、この「耳で聴くこと」が先生のおっしゃっていた基礎の一つだったように思います。
当時の私は、基礎とは「指を速く、間違えずに正しい音を弾くもの」とすっかり勘違いをしていました。
そんな勘違い、思い込みも強かった私は、レッスンがどんどんしんどくなります。
練習してもしても、先生に「良くなった」と言ってもらえない。むしろ練習が出来てないとも言われる。
通して弾いた後には、先生にため息をつかれることも多々ありました。
ただ、レッスン中はどんなに辛くても泣かなかったです。
ですが、レッスンの後はトイレへ駆け込んで泣いたことがしょっちゅうあります。
その時はつくづくピアノを辞めたい、と思ったものです。
それでも辞めなかったのは、先生に「ヨーロッパ人の血が入ってるから、良い物を持ってる」というお言葉をいただいたこと。
そして先生の厳しいご指導は今の自分とはまるで違う演奏を出来るようになる為に、必要なことをして下さってると分かっていました。
私も心の奥底では、今のままではいけない、もっと先へ到達したいと思っていました。
また、厳しいご指導はそれだけ期待を持って下さってるから、とも思っていました。
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自分のピアノ史や学生時代のことを綴ってみたら、色んな記憶が蘇ってきました。
そして蘇ると同時に、今の立場になって振り返るとまた別の発見があることに気づきました。
この「ピアノ上達の道シリーズ」、更新がまばらだった教室ブログの為に始めたつもりが、大変自分にも刺激ある試みになっています。
まだまだ学生時代のお話は続くことになりそうです。